中庭にて、くさぐさの

二次文(腐あり)、断片、読んだ本の感想。 作品以前のものを置くような場所です。 少しだけオープンな倉庫、遊び場。

2017-04-11から1日間の記事一覧

神獣の日

観光地と化した隠れ里の片隅に、桃園の主人はひっそりと薬屋を営んでいる。小さな店の引き戸をからりと開けると、鼻をくすぐる漢方の匂い。耳を立てる兎達の向こう、ひょろりと高い白衣の背を丸めて、湯気立つ鍋をかき混ぜていた男が振り返る。左の耳飾りに…