竜種百科事典 闇のドラゴンの項
闇のドラゴンと呼ばれる種族がある。
この場合の闇とは邪悪な、という意味ではない。それは魔力を糧に生きる竜の一種で成竜ともなれば強大な魔力を操るようになる。糧となるような魔力の濃い場所・・聖地とされるような場所などに居座って、そこを守護しているのが、歴史上何度か確認されている。
ただし、彼らを見つけられる事は少ない。元々の数が非常に少ないということもあるが、闇のドラゴンは知能が非常に高く、魔力を操る事にも長けているため、普段は目立たない姿に変わって暮らしていることが多いらしいのだ。ある程度育った闇のドラゴンの真の姿については、未だにヒトの記録にはまともに残っていない。
闇のドラゴンとの問答について書いたらしい詩人の歌には、巨大な星空が降ってきた、という一節がある。手がかりといえばこれくらいだ。
仔竜の頃の姿にも諸説あるが、黒い羽のついた黒いヤギのような姿、と言われることが多い。体の一部に魔力を吸収する部位があり、その辺りは急所なので触る際には注意すること。
好奇心旺盛な性質のためか、彼らは意外と人間好きだ。仔竜は特に、学者、詩人や音楽家、画家などの芸術家と共にいて、守護している事がある。なぜか、芸術作品に対する判断が鋭く、創作の良いお供となるのだという。古来、ダイモンと呼ばれた存在は闇の仔竜だったのではないかという説がある。
気まぐれなところがあるが、基本的に付き添う相手には守護を与える。守護される相手は驚くほど長命になることがある。中にはドラゴンと共に世界をさまよい、500年以上生きた吟遊詩人などもいたようである。これはいいのか悪いのか・・。
口からものもたべられるが、大地や風や星、自然のエネルギーのみで生きていける、意外と省エネな生き物。ただし成竜になると、エネルギーの強い地にいなければそのうちお腹が空いてしまうらしい。
時に気まぐれで人やその他の生き物の魔力も吸おうとする事がある。その時は、代わりのもの・・良い歌や詩を聴かせたりするとそれで満足することも多いそうだ。それと、知能が高いので、そこらへんは言って聞かせるとよい、と闇のドラゴンをお供にしていた音楽家の手記にはある。